2018/2/14

リニモとは
リニモとは

リニモとは

八草みずき©︎MATSUDA98
八草みずき©︎MATSUDA98

 

諸元
車両編成 3両固定編成、編成列車長43.3m
車両寸法 先頭車 車体長14.0m×幅2.6m×高さ3.45m
中間車 車体長13.5m×幅2.6m×高さ3.45m
乗車定員 編成 244人(座席定員104人)
〔先頭車80人(34人)/両  中間車84人(36人)/両〕
車体構造 アルミ合金製、先頭部非常扉付
乗降扉片側2ヶ所(両開き式、開扉幅1,200mm)
主要装置 車体支持装置
 ペアモジュールによる可撓(かとう)台車方式(モジュール10台/両)
浮上案内装置
 U型常電導電磁石、浮上・案内兼用方式(浮上高さ約8mm)
推進装置
 リニアインダクションモーター(10台/両)
 VVVFインバータ制御(1台/両)
制動装置
 常用:電気ブレーキ、油圧ブレーキ 非常用:油圧ブレーキ
電気方式 DC-1,500V
補助電源装置 DC-DCコンバータ(2台/編成)
運転 ATOによる自動運転
車両性能 最高速度 約100km/h
最大加速度 4.0km/h/s
最大減速度(非常ブレーキ時) 4.5km/h/s
最大登坂勾配 70‰
最大通過曲線範囲 50m

 

デザイン

車両外観

全体のデザインを見る
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正面形状のデザインは透明感のあるカット形状、車体は白を基調とし、透明感が感じ取れる色ということで、ブルーを象徴的に構成しました。さらに、路線の愛称であるリニモのロゴタイプをメイングラフィックスとして車体中央に配しています。

車内

立体的な造形感と未来性を表現するために、天井素材をパンチング素材と連続した面照明としました。また、スタンションポール(握り棒)を積極的に活用しています。
内観基調色は車両イメージで表現しようとしている透明感を損なわないため、あえてインパクトのある色彩は使用せず、モノクローム系やメタリック系など素材感を思わせる色彩を中心にコーディネートしています。
先頭の車両と最後尾の車両には、それぞれ車いすスペースを設置しています。車内には、自動放送設備のほか、行先、次駅、扉開閉方向を示す車内案内表示器を設けています。また、乗降扉の開閉時には、ドアチャイムで注意を促します。

 

安全対策

浮上・案内に関する安全性

モジュールにはマグネット・ドライバ・ユニット(MDU)が仕組まれています。
MDUは、制御コンピュータと電磁石駆動回路からなり、センサが監視するモジュールの動作に対応して適切な電圧を電磁石に印加します。このMDUは、モジュールごとに独立して装備されており、1台のモジュールに異常が発生した場合でも他のモジュールの浮上・案内(横方向の動き)は正常に機能します。
また、モジュールには、非常用ローラ装置が仕組まれており、浮上装置故障等で浮上できない場合でも最寄り駅へ走行できます。

推進に関する安全性

車両は、磁気で浮上して走行し、鉄道車両のように車輪とレールの間の粘着を利用していないことから、雨天、積雪等の天候条件に左右されず、空転、滑走がないため高加速や、回生・逆相ブレーキによる高減速が可能です。
また、リニアインダクションモーターは、各車両に独立して1台ずつ装備されたVVVFインバータ装置により制御されており、故障時にも3系統の内2系統は推進力を確保できる構成となっています。

制動に関する安全性

ブレーキは、電気と油圧の2系統を装備し、常用系装置と保安系装置で使い分けられます。
電気ブレーキは、1両に10台搭載したリニアインダクションモーターをVVVFインバータで制御します。油圧ブレーキは、ライニングでレールの外歯部を挟みその摩擦力で制動力を得ます。
常用系装置のうちの常用ブレーキは、高速域では、回生ブレーキ、停止間際までの低速では逆相ブレーキを使用して制動力を得ます。停止直前の速度以下では、油圧ブレーキを使用します。
また、電気ブレーキ不足の際は、油圧ブレーキが補足する電油協調制御が行われます。非常ブレーキは、全速域を油圧で制動します。
保安系装置である保安ブレーキは、非常ブレーキの予備として動作します。また、非常ブレーキ、保安ブレーキの故障時にはブレーキ作動状態となるフェールセーフ設計になっています。

電源装置に関する安全性

車載電源装置は、1編成に2組装備し、1台が故障した場合でも浮上装置や主要な機器への電源を確保できます。
蓄電池は、1編成で2組装備し、停電時にはブレーキが作動して車両が停車するまでの浮上電源を確保しています。

運転に関する安全性

運転保安装置は、列車検地装置(TD)、自動列車制御装置(ATC)、速度検出装置(VEL)、自動列車運転装置(ATO)、駅制御装置、ATOデータ伝送/列車無線装置から構成されています。
各装置は、車上装置と地上装置とで構成されていますが、車上装置としては、TD送信器、ATC受信器、ATC制御装置、速度検出器、ATO制御装置、駅制御送受信器、IR送受信器(ATOデータ伝送/列車無線送受信器)の7装置が装備され、すべて2重系構成としています。

 

特長

浮上・推進の仕組

車体に取り付けられた電磁石に電流が流れると、レールに向かって吸引力が生まれ、車体が浮きます。電磁石とレールとの間隔はギャップセンサーにより、常に一定の間隔を保つように制御されます。

車両はリニアモーターで推進します、リニアモーターとは、普通の回転モーターを平たくのばしたものです。普通のモーターが回転力として使われるの対し、リニアモーターはそれを直進する力として活用します。

走行台車(モジュール)

モジュールは、鉄道車両における台車に相当し、1台のモジュールには浮上用の電磁石が4個、リニアインダクションモーター用コイルが1台、その他油圧ブレーキ装置などが組み込まれています。
モジュールは、1両あたり5組(左右で1組、合計10台)で、車体下部に空気バネを介して装備されています。

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軌道・電車線

軌道は、逆U字型をした軟鋼でできており、その上にアルミニウムのリアクションプレートが貼ってあります。
逆U字型をした軟鋼の部分は、浮上案内用電磁石の磁気導体となり、浮上・案内力を発生して車体を支えます。また、機械ブレーキの摺動面として制動力を与えます。
アルミニウムのリアクションプレートは、リニアインダクションモーターの二次導体となって推進力を発生させます。

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車両に電力を供給する電車線は、ステンレスで摺動面強度を高めたアルミ材で、各1条ずつ分けて軌道桁両側下方に架設しています。

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メリット

○ 浮上して走行するためレールとの接触が無く、騒音や振動が小さく、乗り心地が快適です。
○ 浮上して走行するため、降雨等の影響を受けにくいです。
○ リニアモーターで走行するため、急勾配もスムーズに走行できます。
○ モジュールがレールを抱え込む構造になっており、脱線や転覆などの事故が起こる心配がありません。
○ 各モジュールが軌道曲線に沿って最適な位置に移動するため、最小回転半径を小さくできます。
○ 摩耗部分が無く、車両やレールなどの保守費用が低減されます。

 

事業の経緯
1989年
〜1992年
「都市内交通型磁気浮上方式リニアモーターカー実用化研究調査委員会」が、名古屋市南区の大江実験線において調査を実施し、「最高速度100㎞/h程度のシステムについては、安全性、信頼性等が確認され、実用化に対して技術的に問題ない」との結論を得る。
1992年 4月 「運輸政策審議会答申」において、東部丘陵線が、「中量軌道系の交通システムとして2008年(平成20年)までに整備することが適当である路線」として位置づけられる。
1998年 4月 愛知県、名古屋市、瀬戸市、豊田市、長久手町等が「東部丘陵線推進協議会」を設立。
1999年 4月 名古屋市名東区藤が丘〜豊田市八草町間約8.9㎞が、国において新規着工準備箇所として採択される。
7月 「東部丘陵線導入機種選定委員会」が愛知県知事に対し、当地域には磁気浮上式システムが導入機種として最適であるとの提言を行う。
2000年 2月 愛知県などが東部丘陵線の経営主体である「愛知高速交通株式会社」を設立。
2001年 3月 愛知県が都市計画案、環境影響評価準備書を縦覧開始。
10月 愛知高速交通株式会社が、軌道法に基づく特許を取得。
愛知県が都市計画決定告示を行うとともに環境影響評価書を公告・縦覧。
12月 「2005年日本国際博覧会基本計画」において、会場への鉄道系の輸送手段として位置づけられる。
2002年 3月 国土交通大臣が愛知県の都市計画事業を認可。
国土交通大臣が愛知高速交通株式会社の工事施行を認可。
11月 1号車両が完成し、大江実験線において試験・調整を開始。
東部丘陵線の愛称を「Linimo(リニモ)」に決定。
2003年 12月 駅名決定。
2004年 3月 本社移転。(長久手町大字熊張地内)
6月 本線上の一部区間において調整・試験走行開始。(芸大通〜万博会場〔現行:愛・地球博記念公園〕)
8月 調整・試験走行区間の延長(はなみずき通〜万博八草〔現行:八草〕)
10月 地下区間を含む全線で調整・試験走行開始。(藤が丘〜万博八草〔現行:八草〕)
11月 愛知高速交通株式会社が中部運輸局長に対して運賃、運転速度及び度数認可を申請。
12月 工事竣工を届け出、運輸開始認可を申請。
2005年 1月 運賃認可。
国土交通省による承認検査、愛知県による運輸開始認可検査を受検。
2月 運輸開始認可
3月 開業

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